2017年11月18日土曜日

人物画(ヌード)のエチュード

今回はラポルト講師の描いた裸体画の油彩エチュードの制作過程を紹介します。



アトリエラポルトでは、毎週土曜日の夕方に絵描き仲間が教室に集まって、自主的に人物デッサン会を行っています。

今回のモデルさんはウクライナ人の男性で、昔のヨーロッパのアトリエのような雰囲気の中での制作となりました。












クレサン社製のキャンバス(№66)に鉛筆でデッサンをした後、バーントアンバーで地色をつけてシルバーホワイトで明部を描き起こしました。





人体の明部全体にシルバーホワイトを置いたところです。

できればもう少し、白だけでモデリングをした方が良いのですが、時間の限られたモデルを前にしての制作では致し方ありません。



肌色をおいていきます。
肌色は、シルバーホワイトにレッドオーカーとイエローオーカーでベースを作り、バーミリオンとネープルスイエローで微調整をおこないました。

影色は、この段階では地色のバーントアンバーにカッセルアースとブラウンオーカーで作っています。

背景は、ランプブラックにウルトラマリン。


一通り人体に色がついた後は、ウルトラマリン、マダーレーキー、オーレオリン、アイボリーブラックなどを使って、モデルの微妙な明度や色合いの変化を直感的に追っていきました。対象を見て描くことの大切さと楽しさを実感する瞬間です。


裸体エチュード(P12号)

1回が20分6ポーズで、合計6回で時間終了となりました。作品とするにはまだまだ描き足りませんが、エチュードではモデルを前にした実感が表れていれば筆をおいてよいと思います。

写真やパソコンを使って絵を描くことが当たり前の時代になってしまいましたが、アトリエラポルトでは、モデルを見ながらの制作は、絵を学ぶ上での最も難しい課題の1つであり、欠くことのできない技術だと考えています。

特にヌードを満足に描けるようになるまでには、長期間にわたる体系的な練習が必要です。しかしそれは同時に、絵を描く本当の楽しさを知る過程でもあると思います。




2017年11月8日水曜日

印象派の技法から自己の作風へ



今回は印象派の技法を取り入れて風景画を制作されている、N.sさんの最近の作品を紹介します。

教室ではどうしても写真を使っての制作になるので、写真に捕らわれない絵になるようにと、印象派の用いたスペクトルの色による並置混合をお勧めし、それを実践されています。





残雪(M12号)



早春のまだ雪の残る八ヶ岳付近の風景。

針葉樹の暗い形と雪の白い形がバランス良く配置されています。

近づいて見ると、印象派の手法を使っているのが分かります。

このように普通なら見過ごしてしまいそうな風景から、造形的要素を引き出して絵にするところにN.sさんのオリジナリティーを感じます。










ゲレンデ(F10号)


これも「ゲレンデでスキーをしているところ」というテーマを越えて、明るい形と暗い形の配置のおもしろさに目のいく作品です。

惜しむらくは、緑の大地は絵具の並置によりニュアンス豊かに表現されているのですが、雪や空の色彩的変化が単調です。それにスキーヤーが遠近法に合っていれば、もっと良い作品になるでしょう。







街角(34㎝×27㎝)キャンバスペーパーに油彩




最後は、キャンバスペーパーにスケッチ風に描いた作品。
新聞を読んでいるのは自画像でしょうか?  
これも垂直水平の画面分割に工夫を感じます。
デッサン額にマットを切って入れれば立派な作品です。