2016年8月26日金曜日

フランス人形を描く


今回は人形をテーマにした制作を紹介します。

人形をモチーフに描かれる方は多いと思いますが、その中でも特に人気の高いフランス人形を取り上げます。










ジュモー人形の写真集


19世紀後半にフランスで製作された人形の中には、頭部が磁器、ボディーが木や木の粉や厚紙等を固めた物で作られていて、関節が動かせるようになっているものがあります。ジュモー、ブリュー、ゴーティエ、などがその代表的な工房です。日本の抱き人形の影響があったと言われています。

1970年頃から日本ではモチーフに使われるようになり、小磯良平をはじめ、田村幸之助、小松崎邦雄、中村清治などの絵にしばしば登場するようになりました。










今回K.rさんの選ばれてた人形は、19世紀末に制作されたジュモーのレプリカでイギリス製のものです。


クレサン社製の中目のキャンバス(66番)に、鉛筆デッサンを転写して、ヴァンダイクブラウンとシルバーホワイトで明暗をつけていきました。

その後、徐々に固有色を加えていきます。













複数のモチーフの組み合わせで魅せる作品でない分、細部の装飾などにも気を遣う必要があります。

元は子供の玩具として作られた人形でかなり様式化されていますが、よく見ると意外に解剖学的にも正確なのに驚かされます。


















人形 F8号



週1回半日の受講で約4カ月かけて仕上がりました。

柔らかいトーンの表現が持ち味のK.rさんの特徴がよく表れた絵になったと思います。色合いの微妙なニュアンスも綺麗です。

これまでの作品は絵具が薄くなり過ぎる傾向がありましたが、今回は中目のキャンバスの凹凸が気にならない位、しっかりと絵具がのった美しいマチエールになりました。これに構成上の魅力が加わるともっと良くなると思います。


額装して部屋に飾っても良い作品です。










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