2012年8月8日水曜日

模写をする 1


すでに画家として活躍しているHくんが、今回は、模写に挑戦しています。


そこで、H君の模写の過程を報告するとともに、模写について考えてみたいと思います。














原画は、アトリエ ラポルト講師所有の19世紀初頭の肖像画を選びました。
作者不明の作品ですが、テクニックと様式からみて、ダビッド派の流れを汲むものかと思います。


原画
原画部分


























模写にも、さまざまな方法があります。日本人で数多くの模写をルーブル美術館などでおこない、模写による勉強の重要性を唱えた画家に、高田力蔵氏(1900~1992)がいます。

1983年に東京日本橋三越で開かれた「高田力蔵 西洋名画模写作品展」カタログより

1983年に開かれた模写展のカタログは、高田氏の模写の全容を知るばかりではなく、模写の方法や、美術館での模写の手続きのやり方などが詳しく書かれていて、とても参考になります。

その中で、序文を寄せたジャック・マレシャル氏(フランス美術館総局選任修復家)は、模写には、ルーベンスなどが行ったような作品への自由な解釈の模写と、経年変化による退色や汚れ・傷みまで模写する盲従的な模写と、基底材の選択や品質から下塗りの色調まで考慮し、原作の制作過程を尊重して行う模写の3通りがあると書いています。そして高田氏の模写は、この中の3番目の方法に依っていることを賞賛しています。


アトリエ ラポルトでは、この高田力蔵氏の考えを継承して、H君の模写へのアドバイスをしたいと思います。









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