2011年9月16日金曜日

水性の地塗りを求めて 1

  グリザイユを始めたTくんは、市販のキャンバスでは思うような塗り重ねができなかったので、水性の地塗りを一緒に作ることにしました。

市販の油性キャンバスは、ダイレクトペインティングや古典絵画などのように、油絵具を生乾き状態で塗り重ねていく技法では、絵具の油の吸収性が弱く、樹脂を加えるか、ある程度乾かないと、下の絵具が動いて塗り重ねができません。その点、水性の地塗りは油を吸収し絵具が固くなり(乾燥はしていませんが)、すぐに塗り重ねが可能な状態になります。

水性の地塗りには、さまざま方法がありますが、なかでもグザビエ・ド・ラングレが薦めている白亜(ブラン・ド・ムードン)と兎の膠のよる処方は、油絵具との相性もよく、理想的な地塗りといえるでしょう。ただし、キャンバスなど布製の柔らかく収縮のしやすい基底材は、ひび割れや剥離を起こす原因となるので、木製の硬質な基底材が必要です。

白亜と膠水(10%)
今回は、10ミリ厚のMDFボードに、ラングレの処方どおりの地塗りを施しました。MDFボードは、木質要素が小さい為、きめが細かく、薄い地塗りでも平滑な画面を得ることができます。反面、水分に弱く、一度反ると元に戻らないので、10㎜厚で4号程度が限度です。


用意するもの
・兎膠(トタン膠)または皮膠  10g
・水                100cc
・白亜                40g
・MDボード(10㎜厚)F4号サイズ
・筋入りハトロン紙


板状の皮膠




*板状の膠は、砕いて水に一昼夜つけた後、湯煎して溶かす。


0 件のコメント:

コメントを投稿