2011年7月1日金曜日

本の紹介 1

 
 「油彩画の技術」  グザヴィエ・ド・ラングレ箸
          黒江光彦訳    美術出版社



左 日本語版  右 フランス語原本

 1968年に翻訳出版され、当時は画家のバイブルと言われた技法書。

第1部の西洋絵画の技法史の詳細な分析、第2部以降の画家の立場からの画材や処方の具体的な説明は、他に類例がなかった。


グザヴィエ・ド・ラングレ

 その後デルナーの「絵画技法体系」が出版されたり、若干の記述内容の誤りを指摘する人たちがいたりして、評価を落としたが、この技法書の日本における重要性は今も変わらない。特にベネチアン・テレピンやコーパルなどの樹脂の使用を薦めている点は、当時としては画期的であったし、耐久性に問題のあるダンマル樹脂を多用する今の若い世代の画家たちにも、警鐘を鳴らしていると言えるだろう。
  
残念ながら現在は絶版状態で、古本市場では高値で取引されている例もあるが、改めて翻訳を検証した上での再版が望まれるところである。


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