2018年1月13日土曜日

ゼロからデッサンを始めて

今回はアトリエラポルトで学ばれて約1年が経ったY.mさんの作品を紹介します。
Y.mさんは20代のITエンジニアで、アトリエラポルトに入るまでは独学でデッサンを描いていたそうです。会社勤めの合間を縫って、週2コマから3コマの割合で学ばれてます。

この1年間の成果をご覧ください。












この4点は、アトリエラポルトに入る前にご自宅で描いた作品です。


そしてここからは、アトリエラポルトで描いたデッサンで、ほぼ制作順に並べてあります。画材は、一部を除いて画用紙に鉛筆です。






























今年は油絵にも挑戦するそうです。
どんな作品ができるのか楽しみです。




2017年12月8日金曜日

アトリエの道具と画材 15 筆の収納と保管

今回は教室での筆の収納と保管についてのアイデアを紹介します。

油絵を始めると次第に筆の数が増えて収納に困ってきます。また、筆はなくなりやすく教室での管理にも悩まされてきました。

そこで思いついたのが、キャンバスロールの梱包容器の再利用です。







アトリエラポルトでは、クレサン社製のキャンバスを使用してますが、その厚紙で作られた梱包容器(長さ2.1m)は非常に丈夫で固く、捨てるのにも困るほどです。

それを筆がすっぽりと入る位の長さにノコギリで切りました。











ベニヤ板を円形に切って底板を作ります。


















ホットメルト接着剤(グルーガン)を使って底板を接着しました。





















上部の切り口はほころびやすいので、布製ガムテープで補強して完成です。












筆を入れるとこんな感じになります。



鍵の付いた専用の収納棚に入れることで、筆の管理は万全となりました。


2017年11月18日土曜日

人物画(ヌード)のエチュード

今回はラポルト講師の描いた裸体画の油彩エチュードの制作過程を紹介します。



アトリエラポルトでは、毎週土曜日の夕方に絵描き仲間が教室に集まって、自主的に人物デッサン会を行っています。

今回のモデルさんはウクライナ人の男性で、昔のヨーロッパのアトリエのような雰囲気の中での制作となりました。












クレサン社製のキャンバス(№66)に鉛筆でデッサンをした後、バーントアンバーで地色をつけてシルバーホワイトで明部を描き起こしました。





人体の明部全体にシルバーホワイトを置いたところです。

できればもう少し、白だけでモデリングをした方が良いのですが、時間の限られたモデルを前にしての制作では致し方ありません。



肌色をおいていきます。
肌色は、シルバーホワイトにレッドオーカーとイエローオーカーでベースを作り、バーミリオンとネープルスイエローで微調整をおこないました。

影色は、この段階では地色のバーントアンバーにカッセルアースとブラウンオーカーで作っています。

背景は、ランプブラックにウルトラマリン。


一通り人体に色がついた後は、ウルトラマリン、マダーレーキー、オーレオリン、アイボリーブラックなどを使って、モデルの微妙な明度や色合いの変化を直感的に追っていきました。対象を見て描くことの大切さと楽しさを実感する瞬間です。


裸体エチュード(P12号)

1回が20分6ポーズで、合計6回で時間終了となりました。作品とするにはまだまだ描き足りませんが、エチュードではモデルを前にした実感が表れていれば筆をおいてよいと思います。

写真やパソコンを使って絵を描くことが当たり前の時代になってしまいましたが、アトリエラポルトでは、モデルを見ながらの制作は、絵を学ぶ上での最も難しい課題の1つであり、欠くことのできない技術だと考えています。

特にヌードを満足に描けるようになるまでには、長期間にわたる体系的な練習が必要です。しかしそれは同時に、絵を描く本当の楽しさを知る過程でもあると思います。




2017年11月8日水曜日

印象派の技法から自己の作風へ



今回は印象派の技法を取り入れて風景画を制作されている、N.sさんの最近の作品を紹介します。

教室ではどうしても写真を使っての制作になるので、写真に捕らわれない絵になるようにと、印象派の用いたスペクトルの色による並置混合をお勧めし、それを実践されています。





残雪(M12号)



早春のまだ雪の残る八ヶ岳付近の風景。

針葉樹の暗い形と雪の白い形がバランス良く配置されています。

近づいて見ると、印象派の手法を使っているのが分かります。

このように普通なら見過ごしてしまいそうな風景から、造形的要素を引き出して絵にするところにN.sさんのオリジナリティーを感じます。










ゲレンデ(F10号)


これも「ゲレンデでスキーをしているところ」というテーマを越えて、明るい形と暗い形の配置のおもしろさに目のいく作品です。

惜しむらくは、緑の大地は絵具の並置によりニュアンス豊かに表現されているのですが、雪や空の色彩的変化が単調です。それにスキーヤーが遠近法に合っていれば、もっと良い作品になるでしょう。







街角(34㎝×27㎝)キャンバスペーパーに油彩




最後は、キャンバスペーパーにスケッチ風に描いた作品。
新聞を読んでいるのは自画像でしょうか?  
これも垂直水平の画面分割に工夫を感じます。
デッサン額にマットを切って入れれば立派な作品です。



2017年10月14日土曜日

本の紹介 22 形態学ノート

今回の本の紹介は、今年(2017年)の6月に青幻舎より翻訳出版された、アントワーヌ・バルジーニ著「アーティストのための形態学ノート」です。




原本は、2016年にフランスで出版された
Le corps à nu. Antoine Barjini" です。





著者のバルジーニは、現在パリ国立高等装飾美術学校の講師を務め、従来の美術解剖学とは異なる形態学の視点から、観察に基づく人体デッサンの実践的方法を試みています。



美術解剖学を学んでも実際にモデルを前にすると、その知識が役に立たない事がよくあります。それは、男女の違いや体形の違いで骨や筋肉の現れ方が異なるからです。
バルジーニの斬新な試みは、個々の人体の表面の形(形態学)からその理由を論理的に説明している点です。
例えば右の写真は、体形の違いを脊椎のS字カーブの違いによる骨盤の傾きから説明しています。

本文は8つのレッスンからなっています。
Ⅰ.人体の特徴
Ⅱ.プロポーション
Ⅲ.骨盤
Ⅳ.下肢
Ⅴ.胴
Ⅵ.上肢
Ⅶ.背中・脊椎・首
Ⅷ.頭部
右のページはその中の「Ⅳ.下肢」の部分です。実例にあげたピカソの絵は、写実的な表現ではありませんが、4本の下肢の内側面と外側面の違いが、それぞれの角度から見事に描きだしていると説明しています。
「良い形とは何か?」「正確なデッサンとは何か?」を考える上での参考になると思います。





この写真は「Ⅵ.上肢」からで、体表の目印を示したものです。男女による表れ方の違いがよく分かります。従来の美術解剖学では理解し難かったところです。



肩の筋肉と上腕の説明では、表層の見えから筋肉の状態を解説しています。










このようなアプローチの仕方は、特にモデルを見て描く時には確かに実践的で理解し易い方法だと思います。参考図版や写真も美しく、読み物としても面白くできてます。人物を描く方にはお勧めの一冊です。